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日隅一雄・情報流通促進賞 2015 大賞決定!

表現の自由や情報公開などに力を入れ、知る権利や情報通信分野で活躍するメディアやジャーナリスト、市民を顕彰している「日隅一雄・情報流通促進賞」の2015年度大賞に、 元朝日新聞記者でフリージャーナリストの添田孝史さんの『原発と大津波 警告を葬った人々』(岩波新書)が決定しました。地道な資料収集によって、福島沖の地震津波を予測した7省庁手引き、保安院幹部による「東電は役員クラスも貞観の地震による津波は認識している。」とされるメールなど、多くの隠されていた資料が明らかにされたことが評価されたものです。

 

また奨励賞には、福島原発事故後、被ばく影響を懸念する保護者への情報提供を目的に創刊された季刊誌『ママレボ』が、特別賞には、キャンプシュワブ前の座り込み抗議行動を支援するために那覇からの毎日バスを運行している「島ぐるみ会議」と、「女性の家ヘルプ」や「日本軍性奴隷性を裁く女性国際戦犯法廷」などの活動を通じて、女性への暴力や人権回復に尽力された故・東海林路得子さんがそれぞれ選ばれました。

 

同賞の表彰式は、故日隅一雄氏の命日にあたる6月12日にちなみ、翌週の6月17日に開催します。

 

<受賞者>

大賞:「原発と大津波 警告を葬った人々」(岩波新書) 添田孝史さん

奨励賞:季刊誌「ママレボ」 和田秀子さん・吉田千亜さん

特別賞:『建白書』を実現し未来を拓く島ぐるみ会議

東海林路得子さん

 

第3回(2015年)日隅一雄情報流通促進基金・贈賞者一覧

 大賞(1作品 副賞 30万円)

「原発と大津波 警告を葬った人々」(岩波新書)添田孝史さん

【贈賞理由】 『原発と大津波 警告を葬った人々』は、地道な資料収集により発掘された秘密文書の存在によって、政府や東電関係者が福島沖の地震津波を予測していた事実を裏付けた画期的なスクープです。さらに添田氏は、開示請求によって集めた資料をWeb上で公開。一般市民にもアクセス可能なものとしました。自らが集めた貴重な資料をパブリックなものにしていく姿勢は市民的メディアのあるべき姿を示しています。情報の流通促進を目指した日隅さんの遺志に沿うものとして大賞に選定しました。




奨励賞(1作品 副賞 10万円)

季刊誌「ママレボ」 和田秀子さん・吉田千亜さん

【贈賞理由】同誌は、東京電力福島原子力事故後、子どもを放射能から守ろうと動き出した女性たちの手によって刊行されている季刊誌です。今の日本では被ばくによる健康被害がタブー視され、十分な情報が提供されていません。そんな中、同誌は、インターネットを使えない情報弱者でも正確な情報を得られるように、雑誌という形で定期刊行。足で稼いだ現場の記事には定評があり、多くのジャーナリストが参考にしています。市民による、市民のための、市民が生みだしたメディアとして、奨励賞に選定いたしました。

 


特別賞(2作品)

特別賞:『建白書』を実現し未来を拓く島ぐるみ会議

「『建白書』を実現し未来を拓く島ぐるみ会議」は、辺野古新基地建設に反対するオール沖縄の運動体として昨年2014年に発足した組織です。キャンプシュワブ前の座り込み抗議行動を支援するために那覇から毎日バスを運行。延べ1万名が利用しました。またSNSなどを通じて、辺野古・高江の現場や日々の活動の情報を発信。国連や米国議会、海外メディアなどに積極的にアプローチをしています。住民主権を貫徹し、情報発信・提供活動によって公正な情報の流通・促進をはかるという活動に対し、特別賞に選定いたしました。

 

東海林路得子さん

東海林さんは、女性と子どもたちが性暴力から緊急避難できる「駆け込み寺」である「女性の家ヘルプ」や「矯風会ステップハウス」に関与し、DV被害者など虐げられてきた弱者に寄り添ってきました。2000年には「日本軍性奴隷性を裁く女性国際戦犯法廷」において、参加団体であったVAWW-NETジャパンの事務局長を務め運営に尽力。同法廷を扱ったETV特集の番組改ざん問題では原告に加わり、東京高裁は政治介入を認めました。東海林さんは今年3月に病気のためお亡くなりになりました。弱者の権利擁護を実現するという形で国民主権を具現化してきた活動と人生を顕彰し、特別賞に選定いたしました。