表現の自由や情報公開などに力を入れ、知る権利や情報通信分野で活躍するメディアやジャーナリスト、市民を顕彰している「日隅一雄・情報流通促進賞」の2017年度大賞に、 東京電力福島第一原子力発電所事故の影響で汚染した土壌の計測と集積に取り組んでいるプロジェクト「みんなのデータサイト」が決定しました。このプロジェクトは、東日本17都県の土壌汚染を広範囲に測定し、市民の立場で科学的データをわかりやすくまとめて公開していることが評価されたものです。
また奨励賞には、SEALDs参加者への取材を重ねた写真家の尾崎孝史さん、特別賞には、情報公開を重ねることで、森友学園問題を社会に明らかにする役割を果たした豊中市議会議員の木村真さんと、共謀罪などをめぐり、噛み合ない与野党の国会質疑を音読する取り組み「コッカイオンドク」を発案した小原美由紀さんがそれぞれ選ばれました。 同賞の表彰式は12月15日に開催します。
<表彰者>
大 賞:「みんなのデータサイト」の活動(共同代表:石丸偉丈さん、阿部浩美さん、大沼章子さん)
奨励賞: SEALDs参加者への取材活動(尾崎孝史さん)
特別賞: 森友学園問題にかかわる情報公開を含む調査活動(木村真さん)
特別賞:「コッカイオンドク!」活動(小原美由紀さん)
<表彰式>
日時:2017年12月15日(金)18時30分〜
会場:日比谷コンベンションホール(千代田区日比谷公園1-4)
第5回日隅一雄情報流通促進賞・表彰者一覧
■大賞(1作品 副賞 30万円)
「みんなのデータサイト」の活動(共同代表:石丸偉丈、阿部浩美、大沼章子)
【表彰理由】
「みんなのデータサイト」は、東京電力福島第一発電所事故により、放射性物質で汚染した土壌を市民の手で計測し、集積した上で、地図上に分かりやすくプロットするという市民参加型のプロジェクトを実施。17都県の土壌採取を広く呼びかけて測定し、土壌汚染データを集積した上で、 市民の立場で科学的データをわかりやすくまとめて公開していることを評価し、大賞に選定しました。
■奨励賞(1作品 副賞 10万円)
SEALDs 参加者への取材活動(尾崎孝史さん)
【表彰理由】
写真家としてSEALDsへの継続的な取材を行い、写真集「SEALDs untitled stories 未来へつなぐ27の物語」を著しました。安保法反対運動をはじめとして新しい運動スタイルを切り拓いたSEALDsの動的な情報発信を切り取って、豊富な写真とともに詳細な記録として残したことは、一過性にとどめない未来に続く情報流通として優れた作品になっており、奨励賞に選定しました。
■特別賞(2作品)
・森友学園問題にかかわる情報公開を含む調査活動(木村真さん)
【表彰理由】
豊中市議の木村真さんは、森友学園が新設する「瑞穂の国記念小学校」の児童募集ポスターを目にしたことをきっかけに、学園が開校する土地取引の情報公開に着手。世間が着目する前に、いち早く問題を発見し公文書を通じて実態を明らかにしようと取り組みました。森友学園の一連の疑惑の端緒になり、その後の情報公開を求める流れをつくった功績を評価し、特別賞に選定しました。
・「コッカイオンドク!」活動(小原美由紀さん)
【表彰理由】
「コッカイオンドク」は、共謀罪などをめぐり、噛み合ない与野党の国会質疑内容をいちはやく文字に起こし、市民が大臣や国会議員に扮して音読する取り組みです。国会会議録ではわからない間合いをリアルに再現し、市民が自ら表現活動として行うというユニークさは、市民が情報流通の主体となる新しい活動として優れていることから、特別賞に選定しました。