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日隅一雄・情報流通促進賞2019 大賞決定!

表現の自由や情報公開などに力を入れ、知る権利や情報通信分野で活躍するメディアやジャーナリスト、市民を顕彰している「日隅一雄・情報流通促進賞」の2019年度大賞に、暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追ったノンフィクション「サカナとヤクザ」を執筆した鈴木智彦さんが選ばれました。また、伊達市の個人線量計問題を追及しつつけた伊達市民の島明美さんや国会パブリックビューイング活動を立ち上げた上西充子さんが奨励賞に選ばれました。特別賞には、「辺野古」県民投票実現の諸活動を表彰します。

 

受賞理由

<大賞>

鈴木智彦さん

(書籍「サカナとヤクザ」執筆活動)

ヤクザや暴力団を取材対象としてきたジャーナリストの鈴木氏が、「魚」という別の角度から、取材対象に向き合った書籍「サカナとヤクザ」。アワビ、ウナギ、カニといった日本人が好む高級食材が、密漁、密輸などにより、暴力団の巨大な資金源になっているという隠された事実を明らかにし、資源保護や産業の持続性の確保、産業の適正化など数多くの課題を浮き彫りにしています。地道な長期取材によって、食と暴力団との関わりに光を当てた本取材を、公正な情報の流通促進や国民主権の実現に資する活動として表彰します。

<奨励賞>

島明美さん

(福島県伊達市の個人被ばく線量調査に関する情報開示請求活動)

島さんは、伊達市住民として精力的に情報開示請求を行い、市で行われていた個人被ばく線量調査をもとに書かれた論文について、不透明な情報提供や研究不正の疑いがあることを突き止めました。市は調査委員会を設置し、著者の大学では研究不正調査が開始されています。また国の放射線審議会は、福島原発事故後の被ばく基準の見直しを検討していた報告書から、当該論文を削除する事態となりました。さらに著者のひとり早野龍五氏は社会的に大きな影響力を持っていましたが、原発事故の被曝影響を過小評価するような研究を行なっていた事実をあぶり出したことで、正しい情報が何かを社会に問いました。これら一連の活動は、公正な情報の流通促進や国民主権の実現に資するものと考え表彰します。

<奨励賞>

上西充子さん

(国会パブリックビューイング活動)

 

「国会パブリックビューイング」活動は、報道では一部しか報道されない国会審議を、路上などのパブリックな場所でビデオ上映する極めて新しいタイプのメディア活動です。大臣や官僚の論点ずらしや不誠実な答弁等を可視化するとともに、映像に解説を付けるなどして一般の人々に分かりやすくリアルに伝えることに成功しました。また、手軽に「国会パブリックビューイング」を行い、コンテンツを作れるように上映方法や映像への字幕のつけ方などもウェブで配信するなど、情報が流通しやすいように数々の工夫も施し、市民と政治との距離を縮めました。これらの活動は、漫然と答弁をしてきた政治家や官僚の緊張感を高め、刺激を受けたメディアが国会審議をより詳細に報道する素地をも生み出しています。公正な情報の流通促進や国民主権の実現に資するものと考え表彰します。

 

<特別賞>

「辺野古」県民投票実現の諸活動

 

県民投票に必要な署名活動で条例指定に必要な法定署名数を大幅に上回る署名数を得て条例制定を直接請求がなされ、2月24日に行われた沖縄県民投票。知事の結果尊重や投票の結果を首相や米大統領に通知するのに必要な投票資格者総数の4分の1を超えました。県民投票の実現には、県内6市の市長が県民投票への不参加を表明するなどの困難がありましたが、「辺野古」県民投票の会代表(当時)元山仁士郎氏によるハンガーストライキや上記6市への要請活動など、沖縄全県における県民投票が実現しました。住民主権を貫徹した一連の活動は、公正な情報の流通促進や国民主権の実現に資するものと考え表彰します。